ことわざの礎

ことわざ学習室の、ことわざを調べて、1年6ヶ月、ことわざの手本となる書物は、 たくさん考えられますが、特に、儒教道教仏教の、3つの要素の影響が、 強いのではないかと考えられます。これらは、中国、日本に古くから伝わり、日本文化 にも、大きな影響を与えてきたことは確かです。また、ことわざには、世阿弥や近松門左衛門の 能や狂言、浄瑠璃などの中で、使われているセリフからも、たくさん出ています。 また、江戸時代の初めに、書かれた「毛吹草(けふきぐさ)」という書物も重要なもののようです。

平家物語の琵琶法師の語りを平曲といいますが、これは、仏教の声明が起源のようで、さらに、 この平曲は、後の、能の謡曲や浄瑠璃の源流にもなっているようです。 能や狂言は、室町時代に、生まれた日本伝統の芸能。世の中の無常観を歌ったものが多いようで、 仏教的な影響を受けているようです。

浄瑠璃という言葉は、仏教で、東方の薬師如来が住むといわれている浄土のことのようです。 ここで言う浄瑠璃とは、三味線などを使った語り物ですが、室町時代末に栄えた、初期の 浄瑠璃の中には、説経節というものがあったようで、江戸時代には、義太夫節の人気に押されて、廃れてしまったようです。 義太夫節として江戸時代に人気のあったものが、近松門左衛門の作品で、この中から生まれている、ことわざも多いようです。 説経節=仏教のお経や、教えを説いて、庶民をその教えに、導くためのもの。「説経浄瑠璃」とも言う。

また、調査中に気がついたことですが、明治の初めに、行われた王政復古宣言は、 天皇を中心とする考え方で、その後の社会や政治へ、大きな影響を与えたと考えられます。 王政復古の原動力は、水戸学や、国学という学問であり、この国学についても忘れては ならない項目の一つと思われます。

【儒教の本】       【道教の本】       【仏教の本】       【能、狂言、毛吹草】       【国学の本】

ことわざや四字熟語は、誰もが興味を引くことばを短くおもしろく飾り、ひとことでは説明しきれない大切な内容を含み、 人生の根本を伝えようとしているものが多いように感じます。つまり、世の中で受け入れることが難しい内容を、 少しぼかして遠まわしに訴えたり、簡単に説明できない道理の見出しとして用いているものが多いように感じるということです。[2011/07/30]