●東風吹かば、匂いおこせよ、梅の花、主無しとて、春を忘るな

読み(ひらがな)

こちふかば、においおこせよ、うめのはな、あるじなしとて、はるをわするな。

意味

春の東風が吹くようになったら、花を咲かせて香りを届けておくれ、梅の花よ。 私(菅公)がいなくても、春を忘れないでいておくれ。

解説

この短歌は、菅原道真(すがわらみちざね・菅公)がうたった有名なものです。 彼は、もともと低い身分でしたが、学問に優れていたため、右大臣にまで出世しました。 当時の左大臣の藤原時平からねたまれ、あらぬ罪で、大宰府に左遷させられました。 その時に、梅が大好きだった菅公が京都の紅梅殿の梅に向けて詠んだ歌のようです。 現在も大宰府の天満宮には、梅があり、飛梅伝説として残っているようです。 「春を忘るな」は、「春な忘れそ」という記述の方が多いようです。

重要語の意味

東風=「こち」と読み、春が近くなると東の方から吹いてくる風。  匂い=鼻で感じるよい香りのこと。花が美しく咲くこと。  主=京都の梅が植えてある家の主、菅原道真公のこと。 

いわれ(歴史)と重要度

菅原道真公の短歌   重要度=☆☆☆

関連コラム棚

天満宮

天満宮とは、菅原道真公をお祭りした神社ですが、そのいわれは、次のようなものです。 平安時代、菅原道真公が大宰府で亡くなった後、京都の都では、藤原時平や右大臣や皇太子などが、 次々に亡くなり、悪いことが続いていたので、菅公の祟りと怖れ、京都の北野天満宮に菅公を お祭りするようになったのが、天満宮の始まりのようです。その後、菅公のお墓がある大宰府にも 天満宮をお祭りするようになり、全国各地にもたくさんの天満宮ができていったようです。 天満宮は、天神様をお祭りするお宮さんですが、天神とは、雷神のことのようです。又、学問の 神様としても有名です。

飛梅伝説とは、菅原道真公が短歌を詠んだ後、京都から大宰府まで、 梅が飛んで、大宰府の地に、その梅が生えたという伝説のようです。

選葉
01←[02]