●匹夫の勇

読み(ひらがな)

ひっぷ の ゆう。

意味

考えが浅く徳の少ない勇気。また、腕力に頼る勇気。

解説

「孟子」という本にあることわざで、斉の国の王とのやり取りの時に出てきます。 斉の国王は「となりの国と交際をする時に、何かよい方法はありますか」と 孟子に質問しました。すると孟子は、「天を楽しむ君主は、天下を安全に保ち、 天を畏れる君主は、その国を安全に保つ」と言いました。斉の王は、 「自分は悪い癖があり、そのような立派なものはなく、血気にはやる小さな勇気 しかありません」と言うと、孟子は、「そのような小さな勇気は匹夫の勇でありますから、 王(あなた)は、たとえ怒りを抱いたとしても、国を思い、国民が安心して生活 できるような大きな勇気を持ってほしい」と提言しました。

重要語の意味

匹夫=「ひっぷ」と読み、身分が低く教養のない者。  勇=「ゆう」と読み、勇気。  匹=たったひとつ。いやしい。  考え=「かんがえ」と読み、いろいろなことを自分の体験などから想像して方向性を決めること。  浅い=「あさい」と読み、深くないようす。数などが少ないようす。  徳=「とく」と読み、人に幸せを導いてくれるような行い。  勇気=「ゆうき」と読み、困難に向っていく強い気持ち。いさましい心。  腕力=「わんりょく」と読み、うでのちから。身体の強さを盾にして向う力。  頼る=「たよる」と読み、そのことにささえられる。  孟子=「もうし」と読み、中国の戦国時代の魯(ろ)の思想家・孟子の弟子が師の言葉をまとめたもの。孟子は[BC372-BC289]の時代の人。  斉=「せい」と読み、戦国七雄のひとつ。宣王(せんのう)という王がいた国。[BC386-BC221]。  交際=「こうさい」と読み、親族以外の人とつき合うこと。  天=「てん」と読み、天帝。万物を支配する神。  君主=「くんしゅ」と読み、人格と能力を備えている立派な人。国の権力者として最も地位の高い人。  畏れる=「おそれる」と読み、すぐれた者をうやまう気持ち。  癖=「くせ」と読み、日常的に身についている習慣。  血気=「けっき」と読み、戦うことを優先した激しい気持ち。  怒り=「いかり」と読み、おこること。腹を立てること。  提言=「ていげん」と読み、考えなどを伝える。 

いわれ(歴史)と重要度

孟子・梁恵王(りょうけいおう)下。   重要度=☆☆☆   難易度=ふつう

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