ギター演奏と仏教の五蘊との関係についての考察

ギターの練習は、楽譜を見て認識し、次にどのように演奏するのかを決め、その演奏された音を聞くという一連の動作を繰り返すことです。 仏教では、人間の行為を含めた、さまざまなあり方(存在)を五つの原因と、そのつながりによって成り立っていると見て、特に心の部分を重要視し、4つに分けて分析します。 仏教では、この考え方を五蘊(ごうん)と呼び、「色、受、想、行、識」であらわします。ギターの練習の動作を、この五蘊と関連づけてみますと 下の表のようになると思います。これら一連の演奏の推移は、一瞬のうちに変化することで成り立ち、その一瞬が、次々に繰り返されているということです。 ギターの演奏と同じように、声を出して読む読書でも同じようなことが考えられます。また、食事をする、スポーツをするなど、殆ど全ての行為が、同じように 五蘊に従っているのではないかと思います。なお、ここでの考察は、五蘊をよく理解していない凡夫、キタランが、表を用いて五蘊の不明確な部分を明らかにする目的で、 試験的に作ったものであり、間違った考え方が含まれているかもしれませんので、今後、考え方が変われば、内容を変更する場合がありますことを、ご了承願います。

五蘊ギター演奏音読の読書仏教解釈備考
眼で楽譜を見る。耳でギターの音を聞く。左右の指を動かしギターを爪弾く。本を手に持つ。本の活字を声に出して読む。音読の自分の声を聞く。身体識によって起こる六根の活動。
楽譜の内容を読み取る心。音を受け取る心。指先の感触を得る心。活字の情報を受け取る心。声を受け取る心。感受作用六根より受けた情報を覚知する受動的心。
受より得られた情報をもとに音程と音符の長さを確認し好き嫌いや良し悪しを選ぶ心。楽譜を見ようとする心。音を聞こうとする心。読んだ内容の好き嫌いや良し悪しを思い浮かべる心。活字を見ようとする心。声を聞こうとする心。表象作用五欲に関して好き嫌い良い悪いなどを決める心。
想の選択する心より生ずる心で何かをしようとする心。例えば、どの弦をどれだけ押さえ爪弾こうとする心。声を出して読もうとする心。本の内容に対して何かを思い浮かべようとする心。意志作用想によって起こる能動的心。三業。
行でしようとしたことを認識し脳へ記憶すること。また記憶された事が認識される心。読んだ内容を認識し脳へ記憶すること。また記憶された事を認識する心。認識作用意識として認識する心。六識。

五蘊の想の比重が大きくなると、次の行と識が乱れ、ギター演奏の失敗を生む原因となるので、想の比重をできるだけ小さくして、五蘊を上手に動かせれば、失敗も減るのではないかと思います。 つまり、想によって生じる雑念が、失敗を招くということと思います。読書の場合も、想に何か別の思いが生じると雑念となり、本の内容が読み取れなくなると思います。 別の表現をすると、演奏や読書の集中力を高めるためには、想に余計な思いを持たせないようにすることが、大切であると思います。

五蘊は、非常に速いスピードで変化していて、しかも、止まることがないので、五蘊の各要素を引っ張り出して、 確認するということは、ほぼ不可能に近いことですから、凡夫には理解することが非常に難しいことだと思います。 ですから、ここに書かれている内容は、凡夫の妄想そのものですが、五蘊が、 人間を構成する要素であるという事実は、ほぼ正しい考え方のようです。

補足説明:  

六根=眼、耳、鼻、舌、身、意。     五欲=五根が求める5つの欲。色欲、声欲、香欲、味欲、触欲。    
六識=眼識、耳識、鼻識、舌識、身識、意識。     三業=身、口、意。    


作成日:2014年10月5日     更新日:2014年10月15日